西野ジャパンの大いなる賭け

4 年に一度のサッカーワールドカップ (W杯) 、今回はロシアでの開催で各国同士の熱戦が繰り広げられています。日本も出場となったのですが、今年 4 月ハリルホジッチ監督の突然の解任劇、後任に西野朗氏が抜擢との発表には世間からも動揺の声が湧きました。その後、テストマッチでも勝利できず、ネット上では早くからワールドカップでの惨敗予想、また各種報道でも予選リーグ敗退の予測が多くありました。当然、国民からの期待度や関心も低く、成田空港から出発する選手の見送りも約 150 名と寂しいものでした。 ( 後の 7 月 5 日の会見で、長谷部誠主将は「無関心が一番怖かった」と当時の心境を語っています )
ところが、いざ予選が始まると、第 1 戦コロンビアに勝利、第 2 戦セネガルと引き分けと、予想を翻す順調な滑り出しに、日本代表への期待と西野監督への注目が高まりました。そして続く第 3 戦ポーランドとの試合、0対1と苦戦の中 、西野監督は大博打を打ちました。もう一方の試合セネガル対コロンビア戦で、コロンビアがこのまま勝つと予測、一次リーグ内の反則数の差による決勝トーナメント進出を狙ったのです。終盤、パス回しでの時間稼ぎという作戦を実行、ブーイングが起こる中、見事決勝トーナメントへ進むことができました。もしも決勝トーナメントに進めていなかったら…と考えると一か八かの賭け、そのリスクを一人で背負い、大胆な決断に踏み切った信念はどこからきたのでしょう。
西野さんの手相を拝見いたしますと、横一文字ひらがなの「て」字です。この相は「ますかけ線」と呼ばれています。平凡な人生ではなく、実力勝負の世界で大成功する可能性があります。例えば政治家、芸能界、音楽家、文学者に多くみられる成功者の手相、一方ホームレスにも多い手相で、人生には波風が立ち波乱万丈さを伴います。しかし、信念は深く固い特徴があることから、リスクを恐れず前に前にと進む力強さがあります。
その後、決勝トーナメントでのベルギー戦、 後半間もなく 2 点先取してどこか夢心地だったのですが、中盤相手チーム 2 点と並ばれ更に 1 点、残り僅かの時間であれよあれよという間に逆転されてしまいました。試合後、西野監督は 2 点取ってから、何も采配が出来なかったのを世界の壁と実感、「ここまで試合を覆されるとは。まだ日本の力が足りない、というのを見せつけられた」とコメントされていました。また帰国後の記者会見の中で、ある選手がグループステージ突破の翌日のミーティングで述べたことに触れ、「倒れ込んで背中に感じた芝生の感触、それで見上げた空の色、それは忘れるな。ベンチに座っていた選手の居心地の悪い、感触を忘れるな、という思いで。僕が言わなくても、その小さい選手がグループステージを突破した翌日に話してくれたことは、早い段階で世界に追いつける姿勢を与えてくれた」と、日本サッカー選手の在り方と今後の未来へ希望を寄せていました。
西野監督は任命当初からの意を貫き、今回をもって全日本監督を退任とのこと、私としては「なぜ?西野監督の続投を推してみれば良いのでは?」と素朴な疑問を抱きます。ただ、サッカーに詳しい人に聞いてみると、外人監督でないと諸外国特にヨーロッパとのテストマッチを受けてくれない現実もあるそうで、まだまだ実力も含め世界の壁は高いみたいです。
ともあれ、サッカー西野ジャパンには感動をいただきました。よかったです。ありがとうございました。そして 2022 年カタール大会では、監督も含め全日本のメンバーに注目応援したいと思っています。強運の西野氏、ひょっとすると 2022 年代表監督復帰も?と、密かに期待しています。

記:玉木 仁邦