今回は手相の歴史をさかのぼり、過去に刻まれた手相を見てみます。
手相の発祥は古代インドに始まり、一方はエジプト、ギリシャを経てヨーロッパ全土に伝わりもう一方はシルクロードを経由して中国、韓国へ伝わった後、仏教と同様に日本へ伝道されました。
「神は、人間の手に印を刻んだ。自分の天分を知らしめんがためなり」 と旧約聖書にも手相に関する内容を思わせる記述があるように、古代より手に現れる線や掌紋の研究は盛んに行われてきました。
いつの時代も自分を知りたい、未来を知りたいと思う気持ちは変わらないのでしょうね。
昔から残存する手相と言えば仏像の手のひらに刻まれたもので、中でも一番有名なのは奈良の大仏さまです。
正式な名称は東大寺盧舎那仏像(とうだいじるしゃなぶつぞう)と言われ、聖武天皇の発願により建立されました。
手相を拝見しますと、ますかけ線(手のひら親指上部より手のひら小指側に真っ直ぐに横切る)です。
ますかけ線の方は変化の激しい時、浮き沈みある大きな環境で力を発揮される方です。
当時の天平時代とは、争い、飢饉、疫病、大地震など人々の不安が極まった波乱万丈な時代だったと言われていますから、それらの混乱を鎮め国家安泰に導くことを祈念したことが推測されます。
開眼法要を実施するともに手相にも願いを込め刻んだのではないでしょうか。
また薬師如来像の手相 は、感情線がやや直線的に人差し指下部まで長く伸びています。
感情線の長い方は、冷静、沈着、判断力に優れています。
指のつけねのと感情線の間が広く心の度量の大きさを表し、感受性の豊かさがみられます。
頭脳線は月丘方面に下垂していることから、物理的、実質的なものよりも精神性を重んじ、信仰心に満ち溢れカリスマ性があり、人々を慈悲の心で導かれていかれたと推測できます。
仁王像の手相を見てみますと生命線と頭脳線の起点が離れているものを多くみます。
これは邪悪なるものの仏敵は一切寄せ付けないようにと、仏さまをお守りする強い強い意志の表れなのでしょうか?
このように仏像を見ることで過去からのメッセージを少し垣間見ることができます。
手相は特別なものではなく、自分自身を表しています。
貴方の才能、穏やかな優しい気持ち主であるかどうかは手をみればわかりますよ!
まだまだよくわからない自分、よく知っているようで何もしらないお友達の事など、タイムトンネルをくぐり受け継がれた手相によって見てみてはいかがでしょうか。
記:玉木仁邦