時代は流れ、易経も意味が変わる。

以前にも易経の文章において解釈が大変難しい事に触れたことがありますが、先日、江戸時代中期の儒学者である新井白蛾がまとめた易経の本を読みました。そこには、易経の解釈を無視した独自の解釈が多数書かれていました。
例えば、「地雷復(ちらいふく)」。
教科書通りの解釈ですと、元に戻るや再スタートなどの意味で扱いますが、新井白蛾の場合、陰と陽の形から「地を掘って宝を得る象」と述べています。
また、「山天大畜(さんてんたいちく)」の場合は、通常ですと大いに蓄え、しかるべき時に進め。つまり充電を重ねたうえで物事を成し遂げよとの意味ですが、新井白蛾の場合は「金、岩中に有る象」と金脈の存在を指し示す内容となっています。江戸時代ですと、このような解釈が人々に受け入れやすかったのでしょう。
易経の知る上での大事なキーワードに「変易(へんえき)」と言うものがあります。これは、易たるものは常に変化を続けていると言う事です。今、巷に溢れている易経の本は、古人が研究を重ね当時としては最高の解釈が添えられた内容となっています。しかし、インターネットなど情報通信が発達した現代では、時代にそぐわない考え方も多数混じっています。今を生きる私たちは、正に現代に合った易経の解釈を見出すタイミングに来ているのかもしれません。それが易経の変易の意味を成し、古人の残した易経をキチンとした形で後世に伝える事になるのかと思います。

記:谷口 尚煕

土用灸

7 月19日から夏の土用期間に入りましたね。
五行である木火土金水のうち、木を春、火を夏、金を秋、水を冬そして、土用は春夏秋冬の季節の変わり目の接着剤期間で、年に4回あります。尚煕東洋占いはこの五行を重視します。
土用期間は、季節の変動が進むことで、身体がその変動に慣れないことから体調を崩したりすることも多いです。そのため夏の土用と言えば「丑の日」のウナギで滋養をつける事が有名ですね。ウナギは昔から高価だったので、庶民は安く済むお灸で土用期間を乗り切ったそうです。俳句の夏の季語にも「土用灸」と言う季語もありますし、夏目漱石も「土用にして灸を据うべき頭痛あり」と言う句を詠んでいます。人間の体には様々なツボ(経穴[けいけつ])が有り、WHO(世界保健機関)では治療効果として361個のツボを認めているそうです。ちなみにこのツボは五行に関連しています。東洋医学では、木は肝臓、火は心臓、土は脾臓、金は肺、水は腎臓が充てられており、不調部分が有れば1か所だけでなく五行の相関で施術を行います。
懐具合が芳しくないとお思いの方、今年はウナギでなくお灸で土用を乗り切ってみては?

記:谷口 尚熙

 

四月の運勢

誕生月別 易占から観る四月の運勢

一月生まれ

慎重運の時です。
物事を大局的にとらえましょう。
見る目を養うことが大事です。

二月生まれ
好調運の時です。
新たな目標を持って下さい。
やる気に満ち溢れることでしょう。

三月生まれ
協調運の時です。
一致団結して乗り越えましょう。
きっと大きな成果につながります。

四月生まれ
平常運の時です。
無理をしないよう心掛けて下さい。
初心を忘れることなく!

五月生まれ
自然体でいきましょう。
問題は自ずと解決します。
無心になることが大切です。

六月生まれ
良好運の時です。
計画が最終段階に入りました。
無駄な行動には気を付けて下さい。

七月生まれ
変化の時です。
古い考えから脱却して下さい。
新年度は新しい体制で臨みましょう。

八月生まれ
日々精進して下さい。
受容的な態度が好まれます。
西南方向にツキがあるでしょう。

九月生まれ
霧がかかった状態です。
無理は禁物です。
焦らず現状維持に努めましょう。

十月生まれ
陰から陽に変化しようとしています。
いつでも終わり方が肝心です。
最後の詰めが甘くならないよう気を付けて下さい。

十一月生まれ
衰運気の時です。
不平不満は慎みましょう。
今あることに誠心誠意尽くして下さい。

十二月生まれ
盛運の時です。
新しいことにチャレンジして下さい。
周りから支持が得られるでしょう。

 

記:松田有央

写真:赤石光穂

 

病鉢巻(やまいはちまき)

新型コロナウィルスの世界的な伝播で様々な影響が出ていますね。
現代では医学の進歩で、病気の原因や背景などが事細かに分かります。昔は医学がそれほど発達しておらず、原因の追究や対策については非常に困難だったかと思われます。
先日、時代劇を見ていましたら、徳川秀忠が病に臥せっている場面があり、秀忠の頭には紫のハチマキがされていました。この紫のハチマキは「病鉢巻(やまいはちまき)」と言うそうです。この紫の原料は紫根草を使い、紫根草には解熱や解毒の効用があり、それを期待し頭に巻くことで、頭熱を下げようとする習慣が出来上がったようです。また、これは私の推察ですが、陰陽五行の木火土金水において、熱は火です。この火を抑えるのは水。水は色に変えると黒もしくは紫です。色をもって高熱に対抗する意味で紫のハチマキを頭に巻いたのかもしれませんね。
ちなみにこの病鉢巻は現在でも歌舞伎の演目である助六などで使われています。

記:谷口 尚熙

20200330 病鉢巻

 

元々、十干は木火土金水と関係なし?

四柱推命など東洋の占いの基盤となる陰陽五行説。
甲乙丙丁戊己庚辛壬癸の「十干」は、木火土金水に陰陽が当てはめられた名称です。この陰陽五行説が生まれた段階で、この名称が付けられたのではなく、元々あった名称を活用したようです。
古代中国の人々が、数値化するのに用いたのが手の指です。両手で10本、これが物を数えたり月の満ち欠けを基準にした暦の日数にも利用されました。その際に、手の指に名称を付けたのが、甲乙丙丁戊己庚辛壬癸。右手の親指に甲を、そしてそこから順に当てはめ最後に左手の小指を癸にしました。ちなみに、両手の指は元々「浣(かん)」と呼ばれ、後に「干」となりました。これが、十本の指で「十干」となるわけです。その後、陰陽五行説が生まれた際に10の単位として丁度良かったのが、この「十干」なのです。
ちなみに「十干」同士で最も相性の良い組み合わせを「干合」と言います。
甲⇔己、乙⇔庚、丙⇔辛、丁⇔壬、戊⇔癸の組み合わせです。
何故、この組み合わせが最も良いかと言うのは未だに解明されていませんが、手の平を合わせた時に、指が重なるのがこの組み合わせ。意外と単純な発想が「干合」の起源かもしれませんね。

記:谷口尚煕

 

春節(旧正月)にまつわる縁起アレコレ

今年の春節(旧正月)は、1月25日です。
春節は、中華圏において最も重要視される祝祭日です。旧暦の1月1日ですから、月の満ち欠け運行の暦ため、新暦では日付が毎年変わります。中華圏では、新暦の1月1日も祝いますが、春節の方が新暦よりもはるかに盛大にお祝いします。
そんな春節において、様々な縁起担ぎが行われます。まず、「色」です。春節においては、「赤」が非常に多用され、街全体が赤色に染まります。以前、香港人の友人が私の自宅の赤いカーテンを見て、春節みたいと言われました。笑
赤を多用する言われは様々ありますが、五行で赤は火を表し、火は魔の退散パワーが非常に強い事から赤の多用が有ると思われます。爆竹で新年を祝うのもこの影響でしょうね。

記:谷口 尚熙

今年も残りわずか

皆さんは今年一年どんな感じでしたか?
私は四柱推命の通変星で「偏印」の年にあたり、正にその意味するところの一年となりました。「偏印」は通変星の印星グループの凶星にあたります。凶星なので、言葉の響き的に悪いイメージですが、実は魅力的な星です。印星は教え導く事や知識を示し、「偏印」については流動性が伴うため、多岐に渡り興味が沸き活動的になる特徴を持っています。そこから、人気運の星、最もよく忙しく動く、アイデアマンなどの意味が派生するのです。
一年を振り返ると、多くの事に興味が沸き、様々な知識を求めて色んな地域に赴きました。(今年の飛行機搭乗は30回でした。笑)
来年は「劫財」の年。体力みなぎる一年になりそうです。

記:谷口 尚熙

 

軍配は占いの道具

今年を締めくくる大相撲九州場所、盛り上がってますね。
さて、相撲の際に行事は必ず軍配を持っています。これは戦国時代に武士たちが相撲を取る時、行司役の武士が勝敗を裁定する道具として使われたのが説として有力です。
ところで、軍配が占いの道具としてご存知でしたか?先日、再放送の大河ドラマで、淀君が息子秀頼と徳川家康に対面させるべきか悩んでいる場面があり、軍配師なるものを呼び吉凶を占わせる内容が展開されました。自分自身、軍配師とは???と疑問を持ち調べたところ、実は合戦の指導者である軍師を示し、風水や占いや兵法に長けていた人物である事が分かりました。戦国武将には10人のお抱え軍配師を抱えた人もいたようです。更に、合戦時に軍配を用いるのは団扇的なものは、悪気を払うなどの縁起以外に様々な気象情報や吉凶を書き込んでいたようです。まさに占いの道具ですね。
勝負は時の運ともいいますが、戦国武将にとって勝利を万全にするうえで当時最も
頼りにしていたのが占い師とも言えますね。

記:谷口 尚熙

 

 

そもそも占いとは?

タイトルから、「占いの神髄とは?」と思われる方がいらっしゃるかと思いますが、今回は占いと言う「言葉」について。

姓名判断などで、よく画数のみを調べて終わり!と捉える方も多いでしょう。実際そのパターンだけで吉凶を判断する方も居ます。私の場合、画数だけでなく漢字や言葉の語源についても調べます。語源を調べると良いイメージなのに、実際の起源はおどろおどろしいものだったりすることも多々あったりするのです。
そんな中、占いの語源は何か?と気になり調べてみると面白い事が分かりました。
「うらない」の「うら」は、正に裏、もしくは心のうちを示します。また「ない」は「なふ」と言う言葉が変化したもので、意味は見る、読むと言う意味だそうです。「うらない」とは相手の心のうちを知る事が意味の本質なんですね。
また、漢字の起源は「卜(ぼく)」だけで、そもそも占いを示した様ですが、その後、占いは問いかけて結果を得る事から、「口(くち)」に対し「卜(ぼく)」を占いの結果として捉え、2つを組み合わせて「占」の形に成ったようです。ちなみに「占」は、占拠や占めると言う意味も有りますね。これは、亀の甲羅で占う「卜占」で、いつも特定の場所に点を刻むことから同じ場所に固定する意味も持つことになったそうです。
言葉の起源調べると、色んな発見がありますね!

記:谷口尚熙

 

 

赤色は万能?

先日、韓流ドラマの時代劇を見ていましたら、天然痘の蔓延で市井の人らが騒ぎ、病から身を守ろうと様々な行為をする様子が描かれ、男性が女性の服を纏い天然痘から逃れようとする場面が有りました。
実は、男性が女性の服を纏ったのは女性の服が五色の色で作られていて、その五色を身に着ける事で万難を排す事が出来るとの民間の噂が広まった事に拠るものでした。五色は陰陽五行の木火土金水を示す色で、全てが揃うと安定に至るとの考えが有ります。
日本でも天然痘に対し、同様に色に拘った風習が有ります。天然痘を日本では疱瘡神(ほうそうしん)の災いとして捉えられ、その厄除けとして、赤色が好んで使われ下着や置物を患者に用いられたそうです。陰陽五行で赤は火を表します。火は古来、魔を払う意味が有り過去の時代劇では出かける前の火打石などは厄除けの典型ですね。
この世に於いて、火を扱える動物は人間だけ。人間以外の動物は火を怖がりこれが魔を防ぐ由縁になっているとも言われます。更に火を扱う事で文化文明を手に入れたので、五行の火の意味に内包されています。
そう考えると、火を示す赤色はスーパーカラーかもしれませんね。

 

記:谷口 尚熙