易経を土台とする易占。
天から受け取ったメッセージを易経に記載されている六十四卦と照合するのが一連の作業となる訳ですが、そこに漢文で記載されている内容をまず理解していないとメッセージの読み解きは困難です。
では、その漢文自体はどうなのかと言いますと、これまた難解です。
文章自体は短いのですが、そこに記載されている漢字の意味が、文脈によって変わるので一筋縄では行かないのです。
例えば「疾」と言う漢字が易経には良く出てくるのですが、下記の通り意味が違うのです。
雷地予五爻 貞疾(ていしつ)⇒継続した病気つまり持病
天雷无妄五爻 无妄の疾い(むもうのやまい)⇒突然の病気
天山遯三爻 疾い有りて(やまいありて)⇒悩みがあって
火風鼎二爻 疾いあり(やまいあり)⇒弱々しい
雷火豊二爻 疑疾(ぎしつ)⇒疑いと憎しみ
兌為沢四爻 疾いを介て(やまいをへだて)⇒障害を遠ざける
「疾(しつ)」と聞けば「疾病(しっぺい)」のイメージから病気は直ぐに思いつくのですが、憎しみや悩みまでは中々思いつかず、加えて前後の文脈からも読み解くので易経の漢文理解は結構時間を要します。
占術家泣かせですね。笑
ちなみに「疾」・「病」共に病気を意味しますが、「疾」は矢の文字が入ってますよね?
そこから人が矢に当たった様から怪我関連の病気で、「病」は丙の発音が熱を持った状態の病気を示すので内科系の病気で違いが有るようです。
漢字の意味の多様性は奥深いですね。
記:谷口 尚煕