3月になり少しずつではありますが気温も春に近づいています。
年度末でもあり、学生さんにとっては進級、卒業のシーズンとなりますね。
社会人の方にとっても移動があったり、決算の時期であったりと何かと気忙しさがあることでしょう。
旧体制を締めくくり、新しい環境に移っていくこの時期は易経の中でも一番最後に記されている卦「火水未済」(かすいびせい)を思い出します。
原文では、経験・知恵とも浅い子狐が川を渡る際に尾を濡らして元の岸へ返るようなことであれば物事を成し遂げることは出来ないというメッセージが込められています。
『未済』とは「未だ済まず」との意味で、前卦の「水火既済」できれいに整った卦象つまり「完成」が真逆の配置となり、完成されたものの姿形が残らずまた一からの始まりを表し、再スタートの状態を示すのです。
卒業がゴールだとしたら、そこを過ぎれば必ず「未だ済まず」の環境、新しいスタートへ移ります。
慣れ親しんだところから無知の環境へ移るのは心躍る期待反面そわそわと不安もつきものです。
気分新たに意気揚々と力強く踏み出してくことも大切ですが、前途が空回りになっては元も子もありません。
いかに新境地で生きてくか、謙虚な気持ちで準備・計画をしておくことが何より大事です。
生きている限り、区切りの時は終わりではなく新たなスタートになります。
人生においては年輪を刻む時に値します。
また一つ年齢的にも人間的にも大きくなる時であり試される折、今までの自分を充分に見定めた上で新たな一歩を踏み出していきましょう。
新たな出逢いに期待をよせて…。
記:越山真知央