病鉢巻(やまいはちまき)

新型コロナウィルスの世界的な伝播で様々な影響が出ていますね。
現代では医学の進歩で、病気の原因や背景などが事細かに分かります。昔は医学がそれほど発達しておらず、原因の追究や対策については非常に困難だったかと思われます。
先日、時代劇を見ていましたら、徳川秀忠が病に臥せっている場面があり、秀忠の頭には紫のハチマキがされていました。この紫のハチマキは「病鉢巻(やまいはちまき)」と言うそうです。この紫の原料は紫根草を使い、紫根草には解熱や解毒の効用があり、それを期待し頭に巻くことで、頭熱を下げようとする習慣が出来上がったようです。また、これは私の推察ですが、陰陽五行の木火土金水において、熱は火です。この火を抑えるのは水。水は色に変えると黒もしくは紫です。色をもって高熱に対抗する意味で紫のハチマキを頭に巻いたのかもしれませんね。
ちなみにこの病鉢巻は現在でも歌舞伎の演目である助六などで使われています。

記:谷口 尚熙

20200330 病鉢巻