「三の酉の年まである年は火事が多い」という言い伝えがあります。
11月に酉の日が3回ある年のことで、今年は一の酉11月6日(月)、二の酉11月18日(土)、三の酉11月30日(木)と該当します。三の酉(11月の末)辺りになると、寒さゆえ暖を求め火を使う機会が多くなることから、注意を促す意味もあるのですが、遡ること1657年に江戸の大半が焼失したとされる「明暦の大火」が由来との説もあります。
江戸時代末期~明治初期の町名主・斎藤月岑が著した「武江年表(ぶこうねんぴょう)」には、明暦三年は元日、4日、5日と火事が続き、1月18日には「乾大風未刻より本郷五丁目浦本妙寺より出火」の記述に始まり、被害については「焼萬石以上の御屋敷五百餘宇、御旗本七百七十餘宇、但し粗屋敷數をしらず、堂社三百五十餘宇、町屋四百町、片町八百町、焼死十萬七百四十六人といへり」と記されています。奇しくも明暦三年の干支は、今年と同じ「丁酉」であり、同じく三の酉の年でした。
現在は江戸時代とは違い、電気等の普及により安全に暖をとることができる時代です。しかし、電気コードの劣化や埃が付着したコンセントが原因となる火災も多く、ヒーターから注ぐ熱による引火も懸念されています。空気が乾燥し火事も起きやすい季節、火の取り扱いには十分気を付けましょう。
記:越山真知央
写真:赤石光穂