仏像の手相

東大寺盧舎那仏大仏をはじめ仏像の手相は、ますかけ線が多くみられます。
東大寺盧舎那仏大仏大仏様は743年(天平十五年)大和の国の国分寺としてあると共に、日本の総国分寺として建立されました。当時は、大地震、疫病、飢饉、争い等苦難が絶えない時代であり、そんな社会不安を取り除き、国を安定させようと願いを込め大仏様が建立されました。大仏様の手相は、波乱万丈な世の中を抑えるため、強いリーダーシップと強い意志力を持ち合わせたますかけ線になったのかも知れませんね。

一方、少し古い時代の仏像として薬師如来像があります。
薬師如来680年(天武天皇九年)に発願された薬師如来は、人々の病気を治し、全ての人の迷いや苦しみから救い、心身の健康を守る仏様です。

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薬師如来手相

手相を観てみますと、感情線は人差し指下部まで届く長い感情線です。冷静沈着で知的レベルも高く、皆を引っ張っていくリーダータイプです。
頭脳線は月丘まで届き、大きく下垂しています。想像力に富み、物質的なものより、精神的なものを重んじます。自分の理想につきすすみ、献身的に社会のために尽くします。
こういった手相の方は、現代でも宗教家、政治家、社会活動家に多くみられます。
金星丘は大きく膨らみ、生命線は大きな弧を描きます。強い生命力とバイタリティがあります。また生命線は第二の運命線と呼ばれます。
強い運気を持ち合わせ、「衆病を悉く(ことごとく)除き、身心を安楽せしめん」という
人々を慈悲の心で導き、苦しみから救い出す薬師如来の本来の意味が、手相に託されたのでしょう。
仏像の手を通して、先人たちの思いが伝わってくる気がします。

記:玉木仁邦