宅地に不適当な土地とはどんな土地でしょうか。新田や新地といった名前の土地は慎重に選ぶべきです。新しい土地を開発することはそれまで安定していた土地を破壊する行為であり安定性に欠くところがあります。ですから山野を切り拓いてつくった造成地はできることなら避けたいところです。どうしてもという場合は、従来の斜面に盛り土した土地よりも、斜面を削り取った造成地の方がまだ安全です。新しく持ってきた土が古い土になじんで安定するには、何百年、何千年の長い時間がかかるからです。
次に気をつけたいのは埋立地です。地盤沈下で埋立地に建てられた建物や道路が崩れて使い物にならなくなることも珍しくありません。数世紀前に埋め立てられた丸の内や日比谷界隈でさえいまだに地盤沈下が進行しているのです。地中に深く杭を打ち込んだ基礎の上に建つ建物は沈下しないのですが、基礎工事を施していない道路はどんどん沈下していきます。そこで玄関の階段を追加して間に合わせていくのですが、やがて水道やガス管まで手直しが必要になってくるのです。
家相では「しまりのない土地は大凶」としていますが埋立地はその代表でしょう。
雨の多い日本では、湿気の溜まりやすい土地も大凶でしょう。白蟻が湧いたり、家の土台の浸食を早め、柱を腐らせたり、井戸を使っているところでは地下水の汚染にもつながります。家相では中庭に木を植えたり池を作ったりするのを凶としているのも、湿気を呼び寄せるからなのです。
京都の桂離宮では、桂川の古い流れを利した池がありますが、床を高くして庭に小高い丘を設けて氾濫に備えています。凶相の土地でもそれを補う方法を講じれば吉相とすることができるのです。
何よりも排水処理等の基礎工事をしっかり行う事が重要です。
参考文献:清家清著 現代の家相
記 丹羽央璃