歳を重ねると身体・住宅・家族の事情も相まって余生をどう過ごすか、という話をよく耳にします。
先日、傘寿を迎えた女性から、 老人施設への入所についてのご相談がありました。
長年連れ添ったご主人は数年前に他界、お子さんもそれぞれの世帯を持ち県外にお住まいであり、 現在一人暮らしで愛犬が何よりの心の拠り所となっています 。元々、社交的で多趣味なこともあり楽しく過ごせていたのですが、近年健康状態が優れず自宅内での転倒もあったことから不安を感じ、前向きに老人ホームへの入所を考えるようになったそうです。住み慣れた自宅近くの施設へ入所を考えていた矢先、娘さんから「私の近くにある施設なら会いに行くこともできるから。」と声をかけられ、どうすればいいのかと迷っていらっしゃるご様子でした。
そこで易を立て占的を二つに絞り占ってみました。
①占的 自宅近くの施設に入るとどうなるか。
《得卦》
火水未成(かすいびせい)上爻
《卦辞》
未済。亨。小孤汔済。濡其尾。无攸利。
びせいはとおる。しょうこほとんどわたらんとしてそのびをうるおす。よろしきところなし
《運勢》
「火水未済の時、通じる。子ぎつねが殆ど川を渡り終わろうとした時、その尾を濡らしてしまう。良いことはない。」
この卦は「いまだ整わず、そして大きな人生目標に向けて堅実に努力を重ねていく時。」という意味があります。しかし軽々しく事を行ってしまえば、中途でへこたれ終わりを全うする事が難しい状況となります。
《占断》 これから新しい事を始める時には良い卦です。新境地での人間関係を築きたいと望まれるならこの選択も良いでしょう。しかし健康体であってこそ、大変なエネルギーと覚悟を要することから、現状での適応は困難と判断します。
②占的 娘さんの近くの施設に入るとどうなるか。
《得卦》
兌為沢(だいたく)五爻
《卦辞》
兌。亨。利貞。だはとおる。ていによろし。
《運勢》
「兌の時、通じる。正しい心であれば良い。」
この卦は口が二つ重なっており楽しい雰囲気を表しています。何かトラブルが起こった時には冷静に話し合って解決することです。 五爻は「 引きずり下ろそうと邪心を持つ者がいるので足元をすくわれないように注意が必要な時。」となり今動く時ではなく、上爻の「余生を楽しむのに良い時。」すなわち五爻から数えて一年後進んで吉とみます 。
《占断》今年は 娘さんの助言を聞き入れながら施設選びをする準備期間に置き、 来年に入所されると良いと判断します。
お伝えした後には迷いも晴れたようで、今回の占断を参考に決断しますとすっきりした表情でいらっしゃいました。
易占は卜(ボク)の占い、天の意思を伺い表れた結果から導きを得る占いです。
人生において迷いが生じた時に占えばどのようにすればいいか、またどのようになっていくかを教えてくれます。
この占いには集中力と易占により得た卦の解釈が大変重要とされます。
興味を持たれる方はもちろん、これからお勉強したい方にはお薦めの占いです。
秋からは当協会員による易占講座も予定されていますので、決定次第「協会メンバーの活動」にてご案内致します。
記 丹羽央璃