昭和は遠くなりにけり

ふる雪や明治は遠くなりにけり。

このうたは、昭和6年俳人中村草田男が母校の小学校を訪れた際、そのままの時間空間に甦りと同時に明治時代が、自己の存在とともに降る雪の白い空間に消えてしまうのではという思いから出来た句です。昭和戦後生まれの私にとっては、単なる懐古趣味的な意味合いでしか理解出来ていませんでした。昨年、映画『インター・ステラー』5次元空間を描いた映画をみて、その一端にふれた気がしました。昨年は、時代を生き抜いて来られた方々が多く旅立ちました。昭和がどんどん遠くなっていく思いが広がります。
昭和を代表する俳優のT.K氏は、日本アカデミー賞をはじめ数々の映画賞の受賞、文化勲章の受章。2012年、久しぶりの映画「あなたへ」での大滝秀冶との共演シーンは、涙が止まりませんでした。また、「鉄道員(ぽっぽや)」では「男が守り抜いたのは、小さな駅と娘への思い」「一人娘をなくした時も、愛する妻を亡くした日も、男は駅に立ち続けた・・・」不思議な少女との出会いが描かれていました。0次元は点、一次元は線、二次元は面、三次元は空間、四次元は「空間+時間」五次元とは、映画『あなたへ』で主人公が奥さんの散骨を終えて「久しぶりに、きれいな海見た」という大滝秀冶のセリフ、また『鉄道員』での不思議な少女とは、「生まれたばかりで亡くなった娘さんで主人公に会いに来た」そのものであると思います。即ち「空間+時間」を超えた世界なのです。T.K氏の演技が心を打つのもその世界を演じる理由があるかもしれませんね。
手相は時間を超え未来の自分をも読み解きます。T.K氏の手相を観てみましょう。
T.K氏

手の形は四角型です。手の平が広く、たくましい手です。とことん頑張る努力の方です。又、どんな困難に立ち向かい克服する力があります。責任感があり、やると決めたことは必ずやり遂げます。
感情線は、人差し指、中指の間に向かいます。真面目さとやさしさを持ち合わせ、信頼も厚く、人に対する心遣いは抜群です。先端が二又に分かれています。人の痛み、心の機微がわかります。また、支線が第一火星丘にむかいます。義理、人情の厚い方です。
運命線は月丘から立ち上がります。周り方々から支持され運をのばしていきます。他人の引立てや援助を受けます。社交的です。
太陽線はサポート線を伴う強い線で、人を幸せする力をもっています。名声、成功を現します、線の方向は月丘に向っています。芸術的、文才も豊かな方だったのでしょう。
頭脳線は現実的、合理的な考え方えをします。行動にムラがなく、非常に頭の良い方です。金銭感覚も抜群の方です。T.K氏は、寡黙で孤高、精神的な事柄を重んじるイメージがありますが、実は社交的で合理的な面もあったみたいですね。ご自身が命(めい)をもって生まれてきた事を知っているからこそ、自ら俳優T.K氏を演じ切られたのだと思います。
「昭和は遠くなりにけり」ではなしに、微力ですが、先人達の思いを、少しでも受け継いでいければと思っています。
合掌

記:玉木仁邦