新嘗祭

新嘗祭は、その年の稲の収穫を祝い、次の年の豊穣を祈る祭儀です。日本では古くから五穀の収穫を祝う風習があり、「天皇が新穀を天神地祇に勧めて神を祀り、みずからも食す」宮中行事の一つとして、旧 11 月二の卯の日に執り行われていました。 1873 年 ( 明治 6 年 ) には太陽暦が採用され、この年 11 月の二の卯の日 11 月 23 日だったことから、この日が祭日として親しまれるようになります。敗戦後、占領軍により除外された時期もありながら、 1948 年「勤労感謝の日」として制定され、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)第2条によると「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう日」と記されつながっています。また、伊勢神宮をはじめ全国の神社では新嘗祭が開催され賑わいます。
来年、平成 31 年 4 月 30 日には天皇陛下が譲位、翌日 5 月 1 日には皇太子さまが即位され、新しい元号となります。ご即位・大礼の主な儀式の中で、初めて行う新嘗祭は大嘗祭 ( だいじょうさい ) と呼ばれ、数日に渡り儀式が執り行われます。その際に、皇祖及び天神地祇に供えられ、また天皇陛下自らも召し上がる穀物は、改元に伴い「斎田点定 ( さいでんていんてい ) の儀」により、悠紀 ( ゆき ) の地方及び主基 ( すき ) の地方が定められます。斎田は亀卜で占われ、平成においても亀卜が用いられたそうです。
今年も多くの自然災害が起こり、その度に農作物への多大なる被害もありました。今ある恵みを当たり前と思うことなく、常日頃から感謝の念を忘れず日々を過ごしたいものです。

記:越山 真知央