陰陽説

「陰陽」とは天地間の万物を作りだす、陰と陽の二気をいいます。「陰」とは元来、山や丘の日光の当たらない所、日陰の意味です。

「陽」とは元来、日光の当たる方の山側で、日向の意味です。

陰陽説というのは、森羅万象、宇宙のありとあらゆるものは相反する陰と陽の二気の働きによって消長盛衰するのであり、この二気の働きによって、万物の事象を理解し、また将来までを予測しようという世界観であるということができます。

 

すなわち、陰と陽の二気が互いに消長し、また調和して自然界の秩序は保たれています。これと同じように道徳、政治、日常の生活などの人間の営みもすべて陰陽二気の変化に順応することで、秩序は保たれているのだと説きます。

 

これは道徳の根元と天と人との一体を主張する中国の根本思想の現れです。やがて、この思想は易に取り入れられ、その基本原理となりました。

 

たとえば、太陽が陽なら月は陰です。天が陽なら地は陰です。男が陽なら女が陰であり、昼が陽なら夜は陰、暖・寒・・・といった具合に区分していくのです。この区分法は、現代のコンピューターに用いられている二進法と同じで、非常に論理的で明快な区分法であるところから、中国思想の根本となりました。